私が初めて家庭教師になったのは、大学1年生の春でした。大手の家庭教師センターに登録して、すぐに中学受験を目指す小学6年生の生徒さんを担当することになったのです。「意外に簡単に家庭教師になれるんだな〜。」と率直に思いました。(その後、生徒さんを獲得するためにあらゆる家庭教師センターが、どれだけ必死に営業しているのかを知ることになりますが、それは後の話・・・)
担当科目は国語でした。とても、素直な子でした。ご家族の方も、精神的にも経済的にも豊かでした。家庭教師って最高のバイトだなって単純に思ってしまいました。幸いにも、希望の中学に合格することができたので、お祝い金もちゃっかり頂き(笑)、初めての家庭教師が大成功のうちに終了するのでした。しかし、大成功の中に次の敗因がひそんでいるのでした・・・。
1人目の生徒さんのおかげで、自分に自信をもったせいか、たくさんの家庭教師センターに登録して、2〜3人の生徒さんを掛け持ちしました。ここで、初めて家庭教師という“仕事”を軽く考えていた自分に気がつくのでした。1人、すごく印象に残っている生徒さんがいらっしゃいました。ご家庭が複雑な中学生の男の子がおりました。(詳しくは守秘義務のため、申し上げられません)中学生という多感な時期のため、常にお父さんとお母さんとケンカをして、勉強もせず、学校から帰ってきては、テレビをみて過ごす子でした。その子は私とは、波長があったせいか、学校の先生のこと、好きな女の子のこと、などをよく話してくれました。私はそのときはあくまでも、家庭教師は“勉強”だけを教えればいいって思っていました。しかし、勉強をするためのもっと根本的な部分、つまり、お父さん、お母さんに感謝をする、しっかりと挨拶をする、自分で自分のことをするというような正しい習慣づけが全く、できていないところに一番の原因があるのではないか?という仮説がパッと頭に閃いたのです。ご家庭の方針に背くかもしれないと真剣に悩みましたが、ご両親とお話をすることにしました。幸いにも、ご両親とも納得していただき、私から生徒さんに少しずつ習慣づけのお話をしていくことになりました。長い道のりが始まるのでした。結果からいうと・・・。生徒さんも少しずつ変わってきてくれて、ご両親が「最近、あの子の顔つきが変わりました!ありがとうございます!」っておっしゃってくれました。このときほど、家庭教師という仕事に対して、喜びと誇りを感じたことはありません。私のほうこそ、感謝感激の気持ちでいっぱいでした。ところが肝心の勉強の方が思ったよりも伸びてこなく、私自身の力不足をこれまた、これほど感じたことはありませんでした。その後は順調に成績が上がってきたので一安心でした。
家庭教師をやっていて、感じたのは家庭教師は単に勉強を教えるだけの仕事ではなく、生徒さんの人格形成に大きな影響をもっている仕事だということです。そのため、家庭教師はプロとして、勉強のみならず、生徒さんに正しい習慣づけを身につけてもらうためのコンサルタントたるべき!と考えます。